こんにちは、京美染色の藤野です。

2022.11.11〜13の三日間は京都府京都文化博物館で毎年行われている、プリント生地の展示会「メイキング・ワークショップ」に弊社も参加しました。

今回のテーマは「京都±ECO」ということで、私は敢えて空き缶や空き瓶などのゴミを柄として生地に美しく見える形でプリントしファッションを通してゴミを見る機会を逆に増やし、日々の生活の中でより「ECO」について考える時間を増やし意識を高められれば、というコンセプトで制作しました。挑戦した技法は「インクジェットプリント」×「手描き」です。

 

近年インクジェットプリントは目覚ましい進化をしており、インクジェットのみで生地を染めても十分素晴らしいものが制作できます。しかし今回の私の柄ではインクジェットのみですと立体感に欠けると感じてましたので、伝統的な友禅技法の中の「糸目糊置き」の際に使用する「筒」に金や銀のグリッターを入れ置いていく、少し立体的に見える様な加工をしました。

また今回の展示会は「市場性」を評価される場でもあるので、全ての作業を手描きでするのではなくある程度の量産ができる「インクジェット」と効果的な加工を施す「手描き」という二つの技法を使い制作たしました。

 

 

上記のように筒を使った手描きのことを「筒描き」と言います。この筒書きの作業は特に友禅でお着物の制作際に使用され大変時間のかかる作業であり、量産が増えてきている現代ではこの技法を使った商品などはお見かけすること自体が減っています。しかし量産に適した型染めにはない良さというものがこの技法にもあり、今回の私の作品のように生地全体に大きな変化(長いグラデーション)があるものは、生地初めと終わりで加工を乗せる量を変えることができます。柄に合わせた細かい調整ができるのが「手描き」「筒書き」の良いところなのです。

現代ではやはり全ての工程を手描きにしてしまうとその値段と量産のしずらさ故に市場に出すことが難しく目にする機会自体も減っているので、工芸の分野全体が抱えている「技術の継承」や「後見者不足」をより促進させてしまうと考えます。

そういったことも踏まえ、「新しいもの」と「古き良いもの」を融合できる技法を探しており、今回挑戦した技法の組み合わせに至りました。

この加工は他にない素敵な商品を作る良い技法だと思います。

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寄稿者 大塚 直史 (おおつか ただし)

在籍10年以上になる営業担当です。前職は石川県の染色工場で現場作業に従事。
京美染色では当時導入したばかりの最新型のインクジェットプリンターのオペレーターをしていました。
その後、呉服・雑貨・アパレルなど、幅広い業種の営業を担当。また、製造小売り部門「亥之吉」の催事で店頭での販売も経験しています。 テキスタイルにかかわる現場作業から商品の販売まで、いろいろな経験を活かして、お客様に最適な加工方法の提案とサービスを提供しています。

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